1.1 動詞の活用と活用の種類

1.1.1 活用の種類

動詞の活用形:

(1)

未然形(+~ない・ず、う・よう):否定や意志に接続。

(2)

連用形(+~ます、た・だ、て・で):敬語や過去形や順接(そして・それての意味)に接続。

(3)

終止形(+「。」):動詞の原形(辞書形)で「。」に接続。

(4)

連体形(+~時):体言(名詞)に接続。「事」・「物」・「人」など他の体言接続も可。

(5)

仮定形(+~ば):仮定に接続。

(6)

命令形(+「。」・「!」):動詞の命令形で「。」・「!」に接続。

五段活用:行ない・行う、行ます・行た・行て、、行時、行ば、行

上一段活用:落ない・落よう、落ます・落た・落て、、落時、落ば、落

下一段活用:食ない・食よう、食ます・食た・食て、、食時、食ば、食

1.1.2 五段活用

五段活用の活用形は表1.1の通り、「アイウウエエオ+音便」の形で変化する。

活用形
基本形
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
〔か〕 ~か・こ ~き・い ~く ~く ~け ~け
〔い〕 ~か・こ ~き・っ ~く ~く ~け ~け
〔およ〕 ~が・ご ~ぎ・い ~ぐ ~ぐ ~げ ~げ
〔さが〕 ~さ・そ ~し・し ~す ~す ~せ ~せ
〔か〕 ~た・と ~ち・っ ~つ ~つ ~て ~て
〔し〕 ~な・の ~に・ん ~ぬ ~ぬ ~ね ~ね
〔あそ〕 ~ば・ぼ ~び・ん ~ぶ ~ぶ ~べ ~べ
〔よ〕 ~ま・も ~み・ん ~む ~む ~め ~め
〔き〕 ~ら・ろ ~り・っ ~る ~る ~れ ~れ
〔わら〕 ~わ・お ~い・っ ~う ~う ~え ~え
〔と〕 ~わ・お ~い・う ~う ~う ~え ~え
表 1.1: 五段活用の活用形

補足説明

(1)

音便変化は五段活用連用形「た・て(だ・で)形」発生。形容詞の「良き⇒良い」・「おはやく⇒おはよう」も音便変化。

(2)

カ・ガ行はイ音便。「行く」は例外で促音便。

(3)

唯一、サ行は音便変化なし。

(4)

タ・ラ・ワ行は撥音便。「問う」は古語・関西弁で、例外でウ音便。

(5)

ナ・バ・マ行は促音便。

(6)

「ない」と「ず」の違い:「行かない」(+「。」)は日常口語・書き言葉で、「行かず」(+「、」)は正式口語・書き言葉です。

(7)

「行かなくて」より、「行かないで」が日常口語によく使われる。

1.1.3 サ行変格活用

サ行変格(する・ ~する・ ~ずる)活用の活用形は表1.2の通り。

活用形
基本形
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
する ×
し(ない・よう)、せ(ず)
さ(せる・れる)
する する すれ
しろ
せよ
表 1.2: サ行変格活用の活用形

補足説明 「させる」は使役、「される」は受け身。

1.1.4 カ行変格活用

カ行変格(「来る」一つだけ)活用の活用形は表1.3の通り。

活用形
基本形
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
〔く〕 (来) くる くる くれ こい
表 1.3: カ行変格活用の活用形

1.1.5 上一段活用

上一段活用の活用形は表1.4の通り。上一段は、う(中央)の上一段(い)の意味。

活用形
基本形
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
〔お〕いる ~い ~い ~いる ~いる ~いれ ~いろ・いよ
〔い〕 (居) いる いる いれ いろ・いよ
〔お〕きる ~き ~き ~きる ~きる ~きれ ~きろ・きよ
〔き〕 (着) きる きる きれ きろ・きよ
〔す〕ぎる ~ぎ ~ぎ ~ぎる ~ぎる ~ぎれ ~ぎろ・ぎよ
〔と〕じる ~じ ~じ ~じる ~じる ~じれ ~じろ・じよ
〔お〕ちる ~ち ~ち ~ちる ~ちる ~ちれ ~ちろ・ちよ
〔に〕 (煮) にる にる にれ にろ・によ
〔あ〕びる ~び ~び ~びる ~びる ~びれ ~びろ・びよ
〔し〕みる ~み ~み ~みる ~みる ~みれ ~みろ・みよ
〔み〕 (見) みる みる みれ みろ・みよ
〔お〕りる ~り ~り ~りる ~りる ~りれ ~りろ・りよ
表 1.4: 上一段活用の活用形

1.1.6 下一段活用

下一段活用の活用形は表1.5の通り。下一段は、う(中央)の下一段(え)の意味。

活用形
基本形
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
〔み〕える ~え ~え ~える ~える ~えれ ~えろ・えよ
〔え〕 (得) える える えれ えろ・えよ
〔う〕ける ~け ~け ~ける ~ける ~けれ ~けろ・けよ
〔つ〕げる ~げ ~げ ~げる ~げる ~げれ ~げろ・げよ
〔み〕せる ~せ ~せ ~せる ~せる ~せれ ~せろ・せよ
〔ま〕ぜる ~ぜ ~ぜ ~ぜる ~ぜる ~ぜれ ~ぜろ・ぜよ
〔す〕てる ~て ~て ~てる ~てる ~てれ ~てろ・てよ
〔で〕 (出) でる でる でれ でろ・でよ
〔たず〕ねる ~ね ~ね ~ねる ~ねる ~ねれ ~ねろ・ねよ
〔ね〕 (寝) ねる ねる ねれ ねろ・ねよ
〔へ〕 (経) へる へる へれ へろ・へよ
〔た〕べる ~べ ~べ ~べる ~べる ~べれ ~べろ・べよ
〔もと〕める ~め ~め ~める ~める ~めれ ~めろ・めよ
〔い〕れる ~れ ~れ ~れる ~れる ~れれ ~れろ・れよ
表 1.5: 下一段活用の活用形